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初めて、バイクに憧れたのは中学1年の時に映画館で観た
「AKIRA」に出てくるバイク達でした。
廃墟に成りかけた近未来都市をバイクで駆け抜けるシーン、
その世界観や乗っている登場人物の姿に強く憧れました。
「こんなバイクに乗ってみたい。」
とバイクに興味を持ち始めました。
しかし、現実の自分が育った京浜工業地帯では暴走族が特攻服を羽織って走り回り
「バブ」「ゴキ」「ザリ」「サンパチ」と奇妙な名前で呼ばれたバイクに
乗った人ばかりでした。
「AKIRA」を観て憧れたバイクとはかなりかけ離れていました。
年を重ねた今では、その独自カルチャーが面白いと思えるようになりましたが
「現実のバイクは、こんなもんなのかぁ~。」
と落胆しバイクへの興味が一度無くなり
パンク、ハードロック、ヘビーメタルと言ったバンドに興味が移りました。
その後京浜地区を離れ、新しい環境を求め横須賀の高校に行きました。
下手ながらもベースを弾き、ライブ・ハウスに出演したく
バンド活動に打ち込むようになりました。
そんなある日、「VANHALEN」のPVを見ていると
DAVID・LEE・ROTHが髪をなびかせハーレー・ダビッドソンに乗る姿を観て
再びバイクに心が奪われました。
「何て格好いいバイクに乗ってるんだ!」と。
それからは、ハーレー・ダビッドソン、アメリカン・バイクに夢中になり
その手の雑誌を読みあさりました。
横須賀米軍基地前ドブ板通り入口あるバイク屋で、
カスタマイズされた「ハーレー・ダビッドソン」と「スティード」が
ショールームのガラス越しに格好よく並んでいて毎日眺めていました。
しかし、当時のバイト代ではとても買えないので
「いつか、こんなバイクに乗りたい。」
と思いながらと友人から安く譲ってもらったJOGZに
「バー&シールド」のステッカーを張り乗っていました。
18歳の時、
バイトを掛け持ちし何とか40万を貯め「サベージ」を22万で買いました。
残りの18万でカスタムをし、3流大学生の特権を活かし
夏休みは4年間日本中を旅しました。
卒業後は、バイク販売店に勤め、X4、Buell・X1、FLHT、FTR250、
VRCSR、WR250R他と様々なバイクに乗りました。
最後は、18歳の時に乗ったサベージを思い出しながら
1976年式のFLHの不動車を1年かけて4速チョッパーに仕上げて乗りました。
バイクとは、その時その時の自分を表し憧れや思いを詰め込んだ
分身のような乗り物だと思います。
勿論、自分が乗ったバイク以外にも好きなバイクは沢山あります。
「欲しいけど、お金が足りない。」
「保管場所がない。」
「買っても乗らない気がする。」
等々で手に入れなかったバイクも沢山ありました。
バイクは乗る人次第で、様々な所に行く事が出来き楽しむ事が出来ます。
そして、時々壊れます。
修理し、また走り出す。
なんとか目的地に辿り着けた時は、何とも言えない気持ちに包まれます。
それはまるで、B級映画の主役にでもなったかのような…。
そんな経験を沢山してきました。
「これからバイクに乗りたい。」
「また、バイクに乗りたい。」
という方の愛車探しを自分の経験を活かし何か手伝いが出来ればと
再びバイク屋を始めました。
2020年4月 羽島 快